矯正治療とは
矯正治療は外観を重視して検討する方が多いですが、歯科医院としては審美面で患者さんのご要望にお応えすることに加えて、口腔内の環境が良くなることも重視しています。歯列が整うと、食べ物が詰まりにくくなりますし、磨き残しが減ります。さらに、噛み合わせが良くなるので特定の歯だけに負担がかかることを防ぎ、あごへの負担も低減できます。
歯並びが悪いと起こること
噛み合わせのバランスが崩れていると、まず食事の際にしっかり噛めないので消化器官に負担がかかります。また、あごに負担がかかることから顎関節症のリスクが上がりますし、本来均等にかかるべき噛む力が特定の部分に集中して、虫歯や歯周病にかかりやすいことが知られています。口を閉じにくいことで口呼吸がクセになると、口が乾いて雑菌が繁殖し、口臭がきつくなる傾向もあります。
不正咬合の種類
上下の噛み合わせが合っていない状態を、歯科医療では不正咬合(ふせいこうごう)と呼びます。咬合の状態が悪いと、筋肉にかかる力のバランスも崩れるので、頭痛や肩こりを起こすこともあります。また、口腔内の環境も悪化しやすいので、ぜひ矯正治療を検討してみてください。
上顎前突(出っ歯)
下顎前突(受け口)
叢生(乱杭歯)
すきっ歯
開咬
過蓋咬合
交差咬合
矯正治療の種類
矯正治療のための装置にはいくつかの種類があり、外観や効率、費用や矯正期間などから選択することができます。症例によっては適用できない方法もあるので、適切な方法を一緒に探していきましょう。
マウスピース
透明のマウスピースを使って歯を動かしていく矯正方法です。脱着が容易なので、食事や清掃の時自分で外すことができます。また、外観上の違和感が少ないことも大きなメリットです。
Meritメリット
- ブラケットやワイヤーのようにかさばる装置を使わないので、不快さが少ない
- 透明な素材なので、外観上の違和感が少ない
Demeritデメリット
- ワイヤーを使う方法よりも移動できる量が限られるので、適用できない症例がある
- 外している時間が長いと成果が出にくいので意思が必要
表矯正(ワイヤー矯正)
金属ブラケット
金属のブラケットとワイヤーを使う矯正です。矯正の種類として歴史も長いので、エビデンスも豊富で安心感があります。また、移動できる量が大きく、適用可能な症例も多いなどメリットが豊富です。
Meritメリット
- ほとんどの不正咬合に適用可能で、装置の強度が高い
- 矯正にかかる費用が他の装置を使うより安い
Demeritデメリット
- 装置が金属色であることで見た目の違和感がある
- 食事や会話の際に違和感を覚える人もいる
審美ブラケット
装置が目立たないように、金属ではなく白や透明の素材で作られています。見た目の違和感が少ないので審美ブラケットとも呼びます。ただし、装置がまったく見えないわけではありません。
Meritメリット
- 適用できる症例の多さは金属ブラケットと同等
- メタルフリーなので金属アレルギーの心配がない
Demeritデメリット
- 金属ブラケットより費用負担が高い
- 金属ブラケットより装置の強度が低い
裏側矯正
歯の裏側に装着するブラケットです。表からは見えないので、周囲の人から気付かれずに治療できます。特殊な装置なので歯科医師の経験が必要です。
Meritメリット
- 歯の裏側に装置を付けるので外観上のストレスが少ない
- 唾液で食べ物のカスを除去しやすいので、表側に装置をつけるより虫歯のリスクが低い
Demeritデメリット
- 装着からしばらくは舌が装置に当たって発音のしにくさや違和感がある
- 歯の表面に装置をつけるより費用負担は大きい